レプリカは、OpenText eDirectoryサーバに分配されたユーザ定義済みのパーティションのコピーまたはインスタンスです。ネットワークに複数のOpenText eDirectoryサーバがある場合、ディレクトリのレプリカ(コピー)を複数保存しておくことができます。これにより、あるサーバやそのサーバに対するネットワークリンクが機能しなくなった場合でも、ユーザが残りのネットワークリソースにログインして使用できます(図 1-16を参照)。
図 1-16 OpenText eDirectoryレプリカ
各サーバには、65,000を超えるOpenText eDirectoryレプリカを格納できます。ただし、同じユーザ定義パーティションのレプリカは、同じサーバ上には1つしか存在できません。レプリカの詳細な説明については、セクション 6.0, パーティションおよびレプリカの管理を参照してください。
OpenText eDirectoryの耐障害性を高めるため、レプリカを3つ保存しておくことをお勧めします(レプリカを保存するOpenText eDirectoryサーバが3箇所あると想定した場合)。単独のサーバに、複数のパーティションのレプリカを保存することもできます。
レプリカサーバは、OpenText eDirectoryレプリカのみを格納する専用サーバです。このタイプのサーバは、DSMASTERサーバとも呼ばれます。この環境設定は、多くの単一サーバリモートオフィスを使用する企業などでよく利用されます。レプリカサーバを使用すると、リモートオフィスの場所のパーティション用として追加のレプリカを格納できます。
また、障害復旧計画にそれを含めることもできます(DSMASTERサーバによる災害対策の説明を参照)。
OpenText eDirectoryのレプリケーションでは、サーバファイルシステムの耐障害性は提供されません。OpenText eDirectoryオブジェクトに関する情報のみが、複製されます。TTS™ (トランザクショントラッキングシステム™)、ディスクミラーリング/二重化、RAID、またはNRS (NetIQ Replication Services)を使用することにより、ファイルシステムの耐障害性を得ることができます。
バインダリサービスを提供するサーバでは、マスタレプリカ、または読み書き可能レプリカが必要になります。
ユーザがWANリンク経由でOpenText eDirectory情報に定期的にアクセスしている場合は、必要な情報を含んだレプリカをサーバに配置し、ユーザがローカルでアクセスできるようにすることで、アクセス時間とWANトラフィックを減らすことができます。
LANにおいても、ある程度は同じことが当てはまります。ネットワーク上の複数のサーバにレプリカを分散すると、情報は、通常、最も近くにある使用可能なサーバから取得されます。
OpenText eDirectoryでは、次の図に示したレプリカのタイプがサポートされます。
図 1-17 レプリカのタイプ
マスタレプリカはオブジェクトやパーティションへの変更を開始するために使用される、書き込み可能なレプリカタイプです。マスタレプリカは、次のタイプのOpenText eDirectoryパーティション操作を管理します。
レプリカのサーバへの追加
レプリカのサーバからの削除
OpenText eDirectoryツリーの新しいパーティションの作成
OpenText eDirectoryツリーの既存のパーティションの削除
OpenText eDirectoryツリーのパーティションの移動
マスタレプリカは、次のタイプのOpenText eDirectoryオブジェクト操作にも使用されます。
OpenText eDirectoryツリーへの新しいオブジェクトの追加
OpenText eDirectoryツリーの既存のオブジェクトの削除、リネーム、または移動
OpenText eDirectoryツリーへのオブジェクトの認証
OpenText eDirectoryツリーへの新しいオブジェクト属性の追加
既存の属性の変更または削除
デフォルトでは、ネットワークの最初のOpenText eDirectoryサーバが、マスタレプリカを保持します。マスタレプリカは、各パーティションに同時に1つだけ存在します。別のレプリカを作成すると、デフォルトで読み書き可能レプリカになります。
マスタレプリカを保持しているサーバを1~2日以上ダウンさせる場合は、読み書き可能レプリカのうち1つをマスタレプリカにすることができます。オリジナルのマスタレプリカは、自動的に読み書き可能レプリカになります。
OpenText eDirectoryで新しいレプリカやパーティションの作成などの操作をするには、ネットワークでマスタレプリカが使用可能である必要があります。
OpenText eDirectoryが、読み書き可能レプリカおよびマスタレプリカのオブジェクト情報にアクセスして、変更できます。すべての変更内容は、すべてのレプリカに自動的に伝えられます。
WANリンクの通信速度が遅い場合やルータがビジー状態の場合など、ネットワークインフラストラクチャでの遅延が原因でOpenText eDirectoryのユーザへの反応が遅い場合は、OpenText eDirectoryを必要とするユーザの近くに読み書き可能レプリカを作成できます。読み書き可能レプリカは、サーバにいくつでも作成できますが、レプリカが増えると、同期を取るためにトラフィックの量が増加します。
読み込み専用レプリカは、パーティションの境界内にあるすべてのオブジェクトに関する情報を読み込むのに使用される、読み込み可能なレプリカタイプです。読み込み専用レプリカは、マスタレプリカと読み書き可能レプリカからの同期更新は受け入れますが、クライアントからの直接の変更は受け入れません。ログイン更新が有効になっている場合、読み込み専用レプリカへのログインにより属性の更新が発生するため、ログインは失敗します。
このレプリカタイプは、バインダリエミュレーションを提供できませんが、OpenText eDirectoryツリーの耐障害性を提供します。マスタレプリカおよびすべての読み書き可能なレプリカが破壊または破損すると、読み込み専用レプリカを新しいマスタレプリカに昇格させることができます。
また、NDSオブジェクトの読み込みやパーティションの境界内のすべてのオブジェクトを含むフォールトトレランス、およびパーティションルートオブジェクトを含むNDSディレクトリツリーへの接続も提供します。
クライアントは常に読み書き可能レプリカにアクセスし、変更を加え続けることができるため、ツリー内のセキュリティポリシーを確立してオブジェクトの変更を制限する目的のために読み込み専用レプリカを使用することは避けてください。権利継承フィルタの使用のように、この目的でディレクトリに存在するメカニズムは他にもあります。詳細については、IRF(権利継承フィルタ)を参照してください。
フィルタ済み読み書き可能レプリカには、フィルタ済みオブジェクトセットまたはオブジェクトクラスが、それらのオブジェクトのフィルタ済み属性セットおよび値とともに格納されます。それに含まれる内容は、ホストサーバのレプリケーションフィルタに固有のOpenText eDirectoryオブジェクトおよびプロパティのタイプに限定されます。ユーザはレプリカの内容の読み取ったり、変更したりでき、OpenText eDirectoryは選択されたオブジェクト情報にアクセスしたり、変更したりできます。選択された変更内容は、すべてのレプリカに自動的に伝えられます。
フィルタ済みレプリカの場合、サーバごとにフィルタを1つだけ指定できます。つまり、あるサーバで定義されているフィルタは、そのサーバ上のすべてのフィルタ済みレプリカに適用されます。フィルタ済みレプリカは、サーバにいくつでも作成できますが、レプリカが増えると、同期を取るためのトラフィックの量が増加してしまいます。
詳細については、フィルタ済みレプリカを参照してください。
フィルタ済み読み込み専用レプリカには、フィルタ済みオブジェクトセットまたはオブジェクトクラスが、それらのオブジェクトのフィルタ済み属性セットおよび値とともに格納されます。フィルタ済み読み込み専用レプリカは、マスタレプリカと読み書き可能レプリカからの同期更新は受け入れますが、クライアントからの直接の変更は受け入れません。ユーザはこのレプリカの内容を読み込むことができますが、変更はできません。それに含まれる内容は、ホストサーバのレプリケーションフィルタに固有のOpenText eDirectoryオブジェクトおよびプロパティのタイプに限定されます。
詳細については、フィルタ済みレプリカを参照してください。
サブオーディネートリファレンスレプリカは、システム生成のレプリカで、マスタレプリカや読み書き可能レプリカのオブジェクトをすべて含んでいるわけではありません。したがって、サブオーディネートリファレンスレプリカは、障害対策を提供していません。サブオーディネートリファレンスレプリカは、OpenText eDirectoryによるパーティションの境界を超えた名前の解決に必要な情報のみを格納するために生成される内部ポインタです。
サブオーディネートリファレンス(レプリカ)は削除できません。OpenText eDirectoryでは、不要になったサブオーディネートリファレンスレプリカは自動的に削除されます。サブオーディネートリファレンスレプリカは、ペアレントパーティションのレプリカを保持し、チャイルドパーティションのレプリカを保持していないサーバでのみ作成されます。
チャイルドパーティションのレプリカが、ペアレントのレプリカを保持するサーバにコピーされた場合、サブオーディネートリファレンスレプリカは自動的に削除されます。
フィルタ済みレプリカには、オブジェクトまたはオブジェクトクラスのフィルタされたセットが、これらのオブジェクトの属性および値のフィルタされたセットと共に格納されます。たとえば、OpenText eDirectoryツリーのさまざまなパーティション内のユーザオブジェクトのみを格納するフィルタ済みレプリカのセットを、1つのサーバ上に作成できます。また、ユーザオブジェクトのデータ(名、姓、電話番号など)のサブセットのみを格納するレプリカを作成することもできます。
フィルタ済みレプリカを使用して、1つのサーバ上にOpenText eDirectoryデータのビューを構築できます。そのために、フィルタ済みレプリカでは、スコープとフィルタを作成できます。これにより、ツリー内の数多くのパーティションから1つのOpenText eDirectoryサーバに、適切に定義されたデータセットを格納することが可能になります。
サーバのスコープとデータフィルタの説明はOpenText eDirectoryに格納され、OpenText Identity Consoleのサーバオブジェクトを通して管理できます。
1つまたは複数のフィルタ済みレプリカを格納するサーバは、レプリケーションフィルタを1つだけ保持します。そのため、そのサーバにあるすべてのフィルタ済みレプリカは、それぞれのパーティションからの同じ情報のサブセットを格納します。フィルタ済みレプリカのマスタパーティションレプリカは、OpenText eDirectory 8.5以降が動作するOpenText eDirectoryサーバでホストされていなければなりません。
フィルタ済みレプリカは、次の目的に使用できます。
他のサーバから複製する必要があるデータ量が減ることによる、サーバへの同期トラフィックの削減。
OpenText Identity Managerによってフィルタリングする必要があるイベント数の削減。
OpenText Identity Managerの詳細については、『OpenText™ Identity Manager CE 24.4 (v4.10) Overview and Planning Guide』を参照してください。
ディレクトリデータベースのサイズの縮小。
レプリカの数が増えれば、その分データベースのサイズが増大します。完全なレプリカを作成するのではなく、特定のクラスのデータのみを格納するフィルタ済みレプリカを作成することによって、ローカルデータベースのサイズを小さくすることができます。
たとえば、ツリーに10,000のオブジェクトが含まれていても、そのうち[ユーザ]オブジェクトの占める割合がわずかであれば、10,000すべてのオブジェクトを格納する完全なレプリカではなく、[ユーザ]オブジェクトのみを含むフィルタ済みレプリカを作成できます。
ローカルデータベースに格納されているデータをフィルタリングできるという特徴を別にすれば、フィルタ済みレプリカは通常のOpenText eDirectoryレプリカと同じであり、必要なときはいつでも完全なレプリカに戻すことができます。
メモ:デフォルトでフィルタ済みのレプリカは、必須のフィルタとして組織および部門を持つことになります。
フィルタ済みレプリカの設定と管理の詳細については、フィルタ済みレプリカを設定し管理するを参照してください。
フィルタ済みレプリカへのローカルログインを許可するには、OpenText Identity Consoleで[ローカルログインの有効化]オプションを選択することに加えて、クラスndsLoginPropertiesをフィルタに追加する必要もあります。
フィルタ済みレプリカへログインする前に、次の属性を設定する必要があります。
不正侵入者を検出する
不正ログイン回数のリセット間隔
最終ログイン時刻
不正侵入者によりロックされました
検出後のロックアウト
ログイン許容時間マップ
ログインが無効化されました
ログインの有効期限
ログイン猶予制限
残りのログイン猶予
ログイン不正侵入者のアドレス
ログイン不正侵入者の試行
ログイン不正侵入者の制限
ログイン不正侵入者のリセット時間
同時ログインの最大数
ログイン時刻
ネットワークアドレス
ネットワークアドレスの制限
パスワード期限間隔
パスワード期限の時刻
秘密鍵
公開鍵
nspmDoNotExpirePassword
nspmPasswordKey
nspmPasswordPolicyDN
pwdAccountLockedTime
pwdFailureTime
sasLoginFailureDelay
sasOTPCounter
sasOTPDigits
sasOTPEnabled
sasOTPReSync
sasUpdateLoginInfo
sasUpdateLoginTimeInterval
メモ:上記の属性は、ユーザオブジェクト、ペアレントコンテナ、またはログインポリシーで設定できます。