16.1 前提条件

16.1.1 識別ボールト

NetIQでは、クラスタ環境に識別ボールトをインストールする前に、次の考慮事項を確認することをお勧めします。

  • すべての識別ボールトおよびNICIデータを格納するための十分なディスク容量を持つ、クラスタソフトウェアがサポートしている外部共有ストレージが必要です。

    • 識別ボールトDIBは、クラスタ共有ストレージに存在している必要があります。識別ボールトの状態データは、サービスを現在実行しているクラスタノードで使用できるように、共有ストレージに配置する必要があります。

    • 各クラスタノード上のルート識別ボールトインスタンスは、共有ストレージのDIBを使用するよう設定する必要があります。

    • さらに、共有NICI (NetIQ International Cryptographic Infrastructure)データを共有して、サーバ固有のキーがクラスタノード間で複製されるようにすることも必要です。すべてのクラスタノードが使用するNICIのデータは、クラスタ共有ストレージに配置する必要があります。

    • NetIQでは、他のすべてのeDirectory設定およびログデータを共有ストレージに格納することをお勧めします。

  • 仮想IPアドレスが必要です。

  • (状況によって実行)識別ボールトのサポート構造としてeDirectoryを使用している場合、nds-cluster-configユーティリティでは、ルートeDirectoryインスタンスの設定のみがサポートされます。クラスタ環境内でのeDirectoryの複数インスタンスの環境設定と、eDirectoryの非ルートインストールはサポートされていません。

クラスタ環境内におけるアイデンティティボールドのインストールの詳細については、『NetIQ eDirectory Installation Guide』の「Deploying eDirectory on High Availability Clusters」を参照してください。

16.1.2 識別情報アプリケーション

Tomcatがサポートする環境に識別情報アプリケーション用のデータベースをインストールできますが、次の検討事項があります。

  • クラスタには、固有のクラスタパーティション名、マルチキャストアドレス、およびマルチキャストポートが必要です。固有の識別子を使用して複数のクラスタを分離することによって、パフォーマンスの問題や異常な動作の発生を防ぎます。

    • クラスタの各メンバーで、識別情報アプリケーションのデータベースの待ち受けポートのポート番号として同一の値を指定する必要があります。

    • クラスタの各メンバーで、識別情報アプリケーションのデータベースをホストするサーバのホスト名またはIPアドレスとして同一の値を指定する必要があります。

  • クラスタ内のサーバの時刻を同期化する必要があります。サーバの時刻が同期していない場合、セッションタイムアウトが早期に発生し、HTTPセッションのフェールオーバーが正しく機能しない可能性があります。

  • 同一ホストでは、複数のブラウザタブまたは複数のブラウザセッションで複数のログインを使用しないことをお勧めします。一部のブラウザはすべてのタブとプロセス間でcookieを共有します。そのため、複数のログインを行うと、(1台のコンピュータを複数ユーザが共有することで認証機能に予期しない動作が発生するおそれがあるだけでなく) HTTPセッションのフェールオーバーの際に問題が発生する可能性があります。

  • クラスタノードは同じサブネットに存在しています。

  • フェールオーバープロキシまたは負荷分散ソリューションは、別のコンピュータにインストールされています。

16.1.3 Identity Applicationsのデータベース

データベースクラスタリングは、個々のデータベースサーバの機能です。クラスタリングは本製品の機能とは無関係なので、NetIQはどのクラスタ化データベース設定についても公式なテストを実行していません。したがって、次の警告付きで、クラスタ化データベースサーバをサポートします。

  • デフォルトで、最大接続数は100に設定されます。この値は、クラスタ内のワークフロー要求を処理するには小さすぎる場合があります。次の例外が表示される場合があります。

    (java.sql.SQLException: Data source rejected establishment of connection, message from server: "Too many connections."

    最大接続数を増やすには、my.cnfファイルにあるmax_connections変数をより高い値に設定してください。

  • クラスタ化データベースサーバの一部の機能または側面を無効にする必要がある場合があります。たとえば、トランザクションレプリケーションは、重複キーを挿入しようとしたときに制約違反になるので、特定のテーブルでは無効にする必要があります。

  • クラスタ化データベースサーバのインストール、設定、または最適化について、クラスタ化データベースサーバへの弊社製品のインストールも含めて、支援を提供することはありません。

  • クラスタ化データベース環境で弊社製品を使用する際に問題が発生した場合は、その解決に向けて最善の努力を尽くします。複雑な環境におけるトラブルシューティング方法の多くは、問題を解決するために連携作業を必要とします。NetIQは、自社製品の分析、プラニング、およびトラブルシューティングを実行するための専門知識を提供します。他のサードパーティ製品の分析、プラニング、およびトラブルシューティングを実行するための専門知識は、お客様から提供していただく必要があります。NetIQ製品の問題とクラスタ設定の潜在的な問題を切り分けるために、お客様には問題の再現または非クラスタ化環境におけるコンポーネントの動作の分析をお願いします。