このセクションでは、Linuxの高可用性クラスタリングを使用して、eDirectory 9.0を環境設定する方法について説明します。
クラスタリングソフトウェアがインストールされた2台以上のLinuxサーバ
すべてのeDirectoryおよびNICIデータを保存するための十分なディスク容量を持つ、クラスタソフトウェアがサポートしている外部共有ストレージ
仮想IPアドレス
NetIQ eDirectory 9.0以降
メモ:nds-cluster-configユーティリティは、eDirectoryのルートインスタンスの環境設定だけをサポートしています。クラスタ環境内でのeDirectoryの複数インスタンスの環境設定と、eDirectoryの非ルートインストールはサポートされていません。
プライマリクラスタノードとして使用するサーバにeDirectoryをインストールして、設定を行います。インストールと環境設定の手順の詳細については、「セクション 2.6.2, nds-installユーティリティを使用してeDirectoryコンポーネントをインストールする」を参照してください。
メモ:
eDirectoryを環境設定する場合、デフォルトのNCPサーバは、eDirectoryをインストールしたコンピュータのホストサーバ名になります。eDirectoryはクラスタ環境内の複数のホスト上でホストされているため、デフォルト名を使用する代わりに、クラスタに対して一意となるNCPサーバ名を指定してください。たとえば、プライマリクラスタノード上にeDirectoryを設定した場合、NCPサーバにclusterserverという名前を指定できます。
環境設定処理中、eDirectoryのインストールで必ず仮想IPアドレスを設定してください。クラスタ環境では、eDirectoryはシステムのIPアドレスではなく、仮想IPアドレスだけをリスンします。
eDirectoryのインストールと環境設定を実行した後、/etc/opt/novell/eDirectory/confに格納されているnds.confファイルに移動します。
nds.confファイルを編集して、n4u.nds.preferred-server設定の値をクラスタインストールの仮想IPアドレスに設定し、ファイルを保存して閉じます。
ndsstatコマンドを使って、eDirectoryのインストールを確認します。
eDirectoryはプライマリクラスタノードで稼働している必要があります。
クラスタマネージャを使って、共有ファイルシステムをマウントします。
環境設定ユーティリティを実行する前に、次のディレクトリ内のすべてのデータをバックアップします。
/var/opt/novell/nici
/var/opt/novell/eDirectory/data (n4u.server.vardir)
/var/opt/novell/eDirectory/data/ (n4u.nds.dir)
/etc/opt/novell/eDirectory/conf (n4u.server.configdir)
/var/opt/novell/eDirectory /log
メモ:デフォルト以外の場所にeDirectoryをインストールする場合、ndsconfig getコマンドを使って、インストールで使われたvardirやdirパスを検索できます。nds.confはデフォルトの場所 (/etc/opt/novell/eDirectory/conf/nds.conf) に配置する必要があります。
プライマリクラスタノードサーバで端末を開き、次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを停止します。
ndsmanage stopall
端末で環境設定ユーティリティnds-cluster-configの場所に移動します。 このユーティリティは、/opt/novell/eDirectory/binディレクトリにあります。
次のコマンドを実行します。
nds-cluster-config -s /<sharedfilesystem>
ここで、<sharedfilesystem>は、eDirectory共有クラスタデータに使用する場所を指しています。
メモ:-uオプションを使って、ユーティリティを無人モードで実行することもできます。このオプションを使用すると、クラスタのeDirectoryを設定するときに、ユーティリティによる確認は行われなくなります。
無人オプションを使用する場合、-sオプションを併せて使用し、共有クラスタファイルシステムを指定する必要があります。
クラスタ共有ストレージが有効であることをユーティリティが確認した後、[y]をクリックして、クラスタの環境設定を続行します。
環境設定ユーティリティは、先に示したディレクトリ内のデータを、共有ファイルシステムの次の場所に移動します。
<sharedfilesystem>/nici
<sharedfilesystem>/data
<sharedfilesystem>/data/
<sharedfilesystem>/conf
<sharedfilesystem>/log
次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを開始します。
ndsmanage startall
ndsstatを使って、eDirectoryの状態を確認します。eDirectoryサービスは稼働している必要があります。
次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを停止します。
ndsmanage stopall
クラスタのセカンダリノードとして、使用するサーバにログインします。
クラスタマネージャを使って、共有ストレージをセカンダリノードに移動します。
プライマリクラスタノードにインストールしたバージョンと同じeDirectoryのバージョンを、セカンダリクラスタノードにインストールします。ただし、eDirectoryは設定しないでください。
端末で、セカンダリノードの環境設定ユーティリティの場所に移動します。このユーティリティは、/opt/novell/eDirectory/binディレクトリにあります。
端末を開き、次のコマンドを実行します。
nds-cluster-config -s /<sharedfilesystem>
ここで、<sharedfilesystem>は、クラスタ共有ストレージを指しています。<sharedfilesystem>のパスは、プライマリノードの設定時に指定したパスの場所と同じにしてください。
nds-cluster-configユーティリティは、セカンダリクラスタノードを、共有クラスタファイルシステム上に格納されている共有eDirectoryデータにリンクします。
次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを開始します。
ndsmanage startall
ndsstatコマンドを使って、eDirectoryの状態を確認します。
ndsmanage stopallコマンドを実行して、セカンダリノード上のeDirectoryサービスを停止します。
クラスタの両方のノード上でeDirectoryを正常に環境設定した後、次のコマンドを使って、各ノード上のNDSDサービスのスタートアップモードを変更する必要があります。
chkconfig -d ndsd
環境設定ユーティリティで2番目のノードの環境設定が終了した後、クラスタマネージャを使って、eDirectoryサービスをクラスタに追加できます。
重要:2台以上のノードが同じDIBを同時にアクセスしていないことをクラスタマネージャがチェックするのが、理想的です。ただし、ユーザが2台以上のクラスタノードから同時にNDSDが実行されないことを確認する必要があります。これは、2台以上のノードを介して同じDIBにアクセスすると、DIBの破損につながるからです。
すべてのノード上でsnmpd.confファイルを変更します。詳細については、『NetIQ eDirectory 管理ガイド
』のeDirectoryのSNMPサービスのインストールと設定を参照してください。
ndssnmpsaを起動します。
[パスワードを保存しますか]オプションに「Yes」を選択します。
SNMPサービスを開始するには、次のいずれかの操作を実行します。
/etc/init.d/ndssnmpsa startをpost_ndsd_startスクリプトに追加し、/etc/init.d/ndssnmpsa stopをpre_ndsd_stopスクリプトに追加します。
eDirectoryリソースに依存するクラスタリソースとしてndssnmpsaを追加します。
メモ:eDirectoryは仮想IPアドレスをリスンしているため、トラップにはホストのIPアドレスが設定されます。これはエージェントのIPアドレスになります。