15.5 DSBKの使用

DSBKは、eDirectoryバックアップを実行する簡易なコマンドラインパーサです。ただし、DSBKでは最初にログインしたり役割ベースサービスを設定することなく、サーバコンソールからバックアップを実行できます。これは、Linuxではスクリプトとして実行され、Windowsではコンソールユーティリティとして実行されます。

DSBK操作が完了すると、操作の結果がファイル(Linuxではdsbk.err)に書き込まれ、プログラムを使用して開き、その内容を表示することができます。操作時にエラーが発生した場合は、このファイルの最初の4バイトにエラーコードが記録されます。エラーが発生しなかった場合、このファイルの最初の4バイトには0が記録されます。

メモ:バックアップまたは復元の設定を完了する前に、NetIQによって指定されたすべてのガイドラインを済ませていることを確認します。

eDirectoryのバックアップ/復元作業に先立ち、「eDirectoryのバックアップ処理に関する確認事項」を参照して問題点を確認し、効率的に作業できるようにしてください。

このセクションでは、次の点を説明します。

15.5.1 前提条件

  • Linuxでは、次の操作を行います。

    1. /etcにファイルdsbk.confを作成します。

    2. 一時ファイルを作成します。例: /tmp/dsbk.tmp

    3. 前のステップで作成した一時ファイルの場所を/etc/dsbk.confファイルの中で指定します。

  • ロールフォワードログを作成するのであれば、バックアップを行う前にこの機能を有効にしてください。

    レプリカリングに属するサーバは、ロールフォワードログ機能を有効にしておく必要があります。バックアップファイルがあっても、ロールフォワードログがなければ復元後の検証処理に失敗し、データベースを開けないことになります。

    ロールフォワードログの詳細については、「ロールフォワードログを使用する」を参照してください。また、この機能を有効にする手順については、DSBKによるロールフォワードログの設定を参照してください。

  • eDirectory以外にも追加でバックアップしたいファイルがあれば、それを列挙したインクルードファイルを作っておいてください。

    スイッチを使用して、ストリームファイルをバックアップすることができます。NICIファイルは常にバックアップするようお勧めします。NICIのバックアップ方法の詳細については「NICIのバックアップと復元」を参照してください。

    それ以外にautoexec.ncfファイルなどをバックアップしたい場合は、そのパスとファイル名をインクルードファイルに列挙します。複数のファイルがある場合はセミコロンで区切ります。改行(ハードリターン)や空白を含めないようにしてください。例: sys:\system\autoexec.ncf;sys:\etc\hosts;

  • eDirectoryのバックアップ後すぐに、ファイルシステムのバックアップ作業を行い、テープに保存できるよう準備してください。バックアップツールによる処理では、サーバ上にバックアップファイルができるだけです。

    ヒント:コピー先ストレージデバイスに容量の制約がある場合は、あらかじめeDirectoryバックアップファイルの最大サイズを設定すると便利です。その場合、backupコマンドの「-s」オプションを使い、バイト単位で指定します。また、バックアップファイルの作成後、サードパーティ製ファイル圧縮ツールを使う方法もあります。80%程度は圧縮できます。

  • コマンドラインオプションについては、「バックアップ/復元のコマンドラインオプション」を参照してください。

15.5.2 さまざまなプラットフォームでDSBKを使用する

Linux上でDSBKを使用する

DSBKのLinuxバージョンでは、環境設定ファイルが必要です。環境設定ファイルには、DSTraceユーティリティでコマンドをDSBKモジュールに渡すために作成および使用される別のファイルを指す単一の行が含まれます。

例を見てみましょう。/etc/dsbk.confに、次の値を設定します。

/tmp/dsbk.command

メモ:インスタンスの所有者が上記のコマンドファイルに対して読み込み/書き込み権限を持っていることを確認してください。

このとき、このファイルは、DBSKモジュール用の中間ファイルとして使用されます。

コマンドの出力はeDirectoryインスタンス固有のログファイルに書き込まれます(デフォルトのインスタンス: /var/opt/novell/eDirectory/log/ndsd.log)。

DSBK HELP
To get help on a specific function type "help <function name>"
 Current functions:
  backup
  restore
  restadv
  getconfig
  setconfig
  cancel

DSBKを設定することにより、コマンドをcrontabに入力して、dsbk getconfigおよびdsbk backupコマンドを定期的に実行し、週1回フルバックアップを行い他の日に差分バックアップを行ったり、必要に応じて任意の組み合わせを行ったりすることができます。

DSBKでRFLを使用する

  • 次のコマンドを使用してRFLをオンにします。

    dsbk setconfig -L
    

    -Lオプションにより、新しいロールフォワードログ記録セッションを開始します。

  • 次のコマンドを使用して、作成されるロールフォワードログの場所を設定します。

    dsbk setconfig -L -r <roll forward log directory> 
    
  • 次のコマンドを使用して、作成されるロールフォワードログの場所を取得します。

    dsbk getconfig 
    
  • -aオプションを使用して、バックアップ時に、ロールフォワードログのディレクトリから古いログファイルを削除します。

    backup -f <file name> -l <file name> [-s <size>] [-u <file name>] [-e <password>] [-t] [-w] [-a]
    [-b|-i|-c] [-o] [-d] [--config-file <configuration file>]
    

ヒント:DSBKユーティリティを対話形式で使用する場合は、2つ目の端末ウィンドウを開いて、tail -f <instance specific ndsd.log>を実行します。これにより、入力されたコマンドに対する出力をすぐに読み込むことができます。

バックアップが完了したら、標準のファイルシステムバックアップユーティリティを使用してバックアップします。

メモ:DSBKコマンドラインオプションに関する詳細については、「バックアップ/復元のコマンドラインオプション」を参照してください。

WindowsでDSBKを使用する

このセクションでは、WindowsプラットフォームでのDSBKユーティリティの基本的な操作について説明します。

eDirectoryをホストするWindowsサーバ上でDSBKを使用する場合、次の手順を実行します。

  1. NetIQ eDirectoryサービスコンソールからユーティリティを起動します。dsbk.dlmは[サービス]タブのサービスリストで使用可能なオプションの1つです。dsbkサブコマンドとそのサブコマンドのパラメータは[起動パラメータ]フィールドで指定します。

  2. getconfigスイッチを使用して、バックアップの現在の設定を表示します。すべてのDSBKコマンドの出力は、WindowsのeDirectoryインストールフォルダにあるbackup.outファイルに追加されます。

  3. 次のコマンドを使用して、作成されるロールフォワードログの場所を設定します。

    setconfig -r <roll forward log directory> -L
    

    -Lオプションにより、新しいロールフォワードログ記録セッションを開始します。

  4. 次のコマンドで、ツリー上のバックアップを開始します。

    backup -f <backup file> -l <logfile> -t -w -b -e <password>
    

    次のオプションを使用します。

    • -t: ストリームファイルのバックアップを取ります。

    • -w: 同じ名前の既存のバックアップファイルを上書きします。

    • -b: フルバックアップを実行します。

    • -e <パスワード>: 指定したパスワードを使用してNICIバックアップを実行します。

    • -a: 「ホット」バックアップ中にロールフォワードログのディレクトリから古いログファイルを削除します。

    たとえば、次のようにバックアップを起動します。

    backup -f c:\dsbk.bak -l c:\backup.log -t -w -b -e novell
    

    完了したバックアップのステータスはbackup.outファイルで確認できます。

    メモ:DSBKコマンドラインオプションに関する詳細については、「バックアップ/復元のコマンドラインオプション」を参照してください。

次のコマンドを使用してRFLをオンにすることができます。

setconfig -r <roll forward log directory> -L

15.5.3 DSBKによる手動バックアップ

DSBKを使って、eDirectoryデータベースの中身を、指定したファイルにバックアップすることができます。バックアップファイルには、eDirectoryをその時点の状態に復元するために必要な情報がすべて含まれています。また、処理結果は所定のログファイルに記録されます。

DSBKを使うと次のような作業ができます。

  • データベースを開いたままで、フル/インクリメンタルバックアップ(ホットバックアップ)。

    「ホット」バックアップの場合、バックアップ処理中もeDirectoryデータベースは開いたままで、通常どおり利用しながら、バックアップ開始時点の状態を完全に保存できます。

  • コールドバックアップ(データベースをいったん停止してフルバックアップ)。

    この機能は、ハードウェアをアップグレードする、あるいは新規サーバ(同じオペレーティングシステムが動作するもの)に移行する場合に有用です。詳しくは「ハードウェアのアップグレードやサーバの交換」を参照してください。

  • バックアップ後、データベースを閉じたままにしてロックする設定。

  • バックアップファイルの最大サイズの設定。

手順

DSBKを使ってeDirectoryデータベースをバックアップする手順を次に示します。

  1. 次の一般的な形式に従って、dsbk backupコマンドを入力します。

    dsbk backup -b -f backup_filepath_and_backup_filename -l backup_log_filename_and_path -u include_file_filename_and_path -t -w

    各スイッチの間にはスペースが必要です。スイッチの順序は重要ではありません。

    たとえば、Windowsでは、次のコマンドを入力します。

    dsbk backup -b -f c:\backups\8_20_2001.bak -l c:\backups\backup.log -u c:\backups\myincludefile.txt -t -w

    この例では、フルバックアップを取ること(-b)、バックアップファイルをc:\backups\8_20_2001.bakとすること、処理結果をc:\backups\backup.logに出力すること、さらに、データベースとともに、次に示す他のファイルもバックアップすることを指定しています。

    • 管理者があらかじめ作成したインクルードファイル(-u c:\backups\myincludefile.txt)に列挙されたファイル。

    • ストリームファイル(-t)。

    さらにこの例では「-w」オプションが指定されているため、同じ名前のバックアップファイルがあれば上書きされます。

    出力はndsd.logに書き込まれ、バックアップが成功したかどうかを示します。

    eDirectoryのバックアップ処理が終了したら、すぐにファイルシステムのバックアップ作業を行い、テープに保存しますバックアップツールによる処理では、サーバ上にバックアップファイルができるだけです。

15.5.4 eDirectoryのバックアップの自動化

eDirectoryのバックアップを自動化するには、次のコマンドをバッチに記述します。

dhostcon.exe 192.168.1.1 load dsbk backup -b -f <Backup File> -l <Log File> -t -w

次に例を示します。

c:\novell\nds\dhostcon.exe 192.168.1.1 load dsbk backup -b -f edirbackup.bak -l c:\novell\edir-backup.log -t -w 

このファイルをeDirectoryがインストールされている場所に保存します。

15.5.5 DSBKによるロールフォワードログの設定

DSBKを使用して、ロールフォワードログの設定を変更します。次のような設定ができます。

  • 現在の設定の確認

  • ロールフォワードログ機能の有効/無効の切り替え

    レプリカリングに属するサーバは、ロールフォワードログ機能を有効にしておく必要があります。バックアップファイルがあっても、ロールフォワードログがなければ復元後の検証処理に失敗し、データベースを開けないことになります。

  • ロールフォワードログの保存先ディレクトリの変更

  • ロールフォワードログのファイルサイズの最小値、最大値の設定

  • 現在使用中のログ、すでに書き出しを終えた最新のログの判別

  • ストリームファイルをロールフォワードログに含めるかどうかの切り替え

ロールフォワードログの詳細については、「セクション 15.3, ロールフォワードログを使用する」を参照してください。

手順

  1. 次のように入力して、現在の設定を確認します。

    dsbk getconfig

    オプション指定は必要ありません。

    たとえば次のように表示されます。

    Roll forward log status OFF
    Stream file logging status OFF
    Current roll forward log directory C:\rfl\nds.rfl
    Minimum roll forward log size (bytes) 104857600
    Maximum roll forward log size (bytes) 4294705152
    Last roll forward log not used 00000000.log
    Current roll forward log 00000001.log
    *** END ***
    
  2. setconfigコマンドで設定を変更します。次のような形式で入力してください。

    dsbk setconfig [-L|-l] [-T|-t] -r path_to_roll-forward_logs -n minimum_file_size -m maximum_file_size

    各スイッチの間にはスペースが必要です。スイッチの順序は重要ではありません。

    ロールフォワードログ専用のディスクパーティション/ボリュームを用意するのが最善です。こうしておけば、ディスク容量やアクセス権を監視しやすくなります。

    警告:ロールフォワードログ記録を有効にしたら、デフォルトの保存先は使用しないでください。障害対策のためには、eDirectoryとは別のディスクパーティション/ボリューム、別の記憶デバイスを指定してください。ロールフォワードログディレクトリは、バックアップ環境設定を変更するサーバ上である必要があります。

    重要:ロールフォワードログ機能を有効にする場合、ログを保存するボリュームのディスク容量を常に監視してください。これを怠ると、ログの容量は増える一方なので、ディスクパーティション/ボリュームがあふれてしまう恐れがあります。ディスク容量が不足してロールフォワードログを作成できない場合は、eDirectoryはそのサーバに対して応答しなくなります。書き出しが終わったロールフォワードログは、定期的にバックアップし、サーバから削除するようお勧めします。詳細については、ロールフォワードログのバックアップと削除を参照してください。

15.5.6 DSBKによるバックアップファイルの復元作業

DSBKを使用して、手動で作成したバックアップファイルに保存されたデータから、eDirectoryデータベースを復元します。処理結果は所定のログファイルに記録されます。

DSBKを使えば、iManagerにはない高度な復元オプションも使用することができます。これらは、「バックアップ/復元のコマンドラインオプション」のrestoreおよびrestadvの項に記載されています。

追加の前提条件

  • 復元対象サーバにeDirectoryをインストールし、稼動させておいてください。

    たとえば記憶デバイスの障害の場合、デバイスを交換し、改めてeDirectoryをインストールすることになります。故障したサーバごと交換する、あるいは単に新しいサーバに移行する場合は、新しいサーバにオペレーティングシステムをインストールした上で、eDirectoryも準備します。

  • コマンドラインオプションについては、「バックアップ/復元のコマンドラインオプション」を参照してください。

  • 復元処理の詳細については、「バックアップツールによる復元作業の概要」を参照してください。

手順

DSBKを使ってeDirectoryデータベースを復元する手順を次に示します。

  1. 必要なバックアップファイルを集めておきます。詳しくは「セクション 15.4, 復元処理の準備」を参照してください。

  2. 次の一般的な形式に従って、dsbk restoreコマンドを入力します。

    dsbk restore -r -a -o -f full_backup_path_and_filename -d roll-forward_log_location -l restore_log_path_and_filename

    各スイッチの間にはスペースが必要です。スイッチの順序は重要ではありません。-rスイッチを使用してeDirectoryデータベースそのものを復元します。このスイッチを指定しないと、その他の種類のファイルのみが復元の対象となります。復元処理の終了後にデータベースをアクティブにして開くには、-aおよび-oを指定してください。

    ロールフォワードログを使って復元する場合は、ログのフルパスを指定しなければなりません。フルパスは、eDirectoryにより自動的に作成されたディレクトリ(通常は\nds.rfl)を含みます。このディレクトリについて詳しくはロールフォワードログの保存先を参照してください。

    次に例を示します。

    dsbk restore -r -a -o -f $HOME/backup/nds.bak -d $HOME/backup/rfldir/nds.rfl -l $HOME/backup/backup.log

    この例では、データベースそのものを復元し(-r)、復元の検証が正常終了してから、そのデータベースをアクティブにして(-a)、開く(-o)よう指定しています。-fスイッチでフルバックアップファイルの場所を、-dでロールフォワードログの場所を指定しています。また、復元処理の結果を記録するログファイルを、-lで指定しています。

    DSBKはフルバックアップを復元します。復元が正常に終了したかどうかを示す出力がndsd.logに書き込まれます。

  3. (状況によって実行)復元処理に失敗した場合は、ログファイルでエラーの原因を確認してください。

    復元後の検証に失敗した場合の対処については、「セクション 15.7, 復元後の検証処理に失敗した場合の対処方法」を参照してください。

    メモ:レプリカリング中にeDirectory 8.5より前のバージョンが稼動しているサーバがある場合、復元処理は失敗します。エラーコードは-666、すなわち「DSバージョンの不整合」となります。

  4. (状況によって実行)NICIセキュリティファイルを復元した場合は、復元の完了後、サーバを再起動してNICIを再初期化し、その後でDIBを復元します。

  5. ここでサーバが通常どおり要求に応答することを確認しておきます。

  6. (状況によって実行)このサーバでロールフォワードログ機能を使うためには、改めて有効に切り替え、障害対策のための書き出し先も設定し直して、ロールフォワードログの環境設定を再作成する必要があります。ロールフォワードログを有効にしてから、改めてフルバックアップも取る必要があります。

    この手順が必要となるのは、復元処理の過程で、ロールフォワードログに関する設定はデフォルトに戻るためです。つまり、ロールフォワードログ機能は無効となり、保存先もデフォルトの場所になるからです。フルバックアップが改めて必要となるのは、スケジュールに従って次に無人でのフルバックアップが取られるまでに、再び障害が起こる可能性があるためです。

    ロールフォワードログの詳細については、「セクション 15.3, ロールフォワードログを使用する」を参照してください。

以上で復元作業が終了しました。NICIの再初期化も済んでいるので、暗号化された情報にもアクセスできます。ロールフォワードログ機能を使用する場合は、今後の障害に備えるため、再びこの機能を有効にし、フルバックアップを取っておいてください。

15.5.7 バックアップ/復元のコマンドラインオプション

eDirectory バックアップツールのコマンドラインオプションは、backuprestorerestadvgetconfigsetconfig、およびcancelの6つの関数に分類されます。

オプションはどのような順序で指定しても構いません。各オプション間は空白で区切ってください。

オプション

説明

backup

データベースおよび関連ファイルのバックアップ

-f file_name

(必須)バックアップファイルの名前とパス。

バックアップツールで作成するバックアップファイルのファイル名と場所を指定します。バックアップ対象サーバ上のローカルファイルを指定してください。たとえば、backup -f C:\backup\ndsbak.bakと指定すると、データベースがC:\backup\ndsbak.bakにバックアップされます。

-l file_name

(必須)ログファイルの名前とパス

バックアップ処理の結果を出力するログファイルを指定します。

-b

(オプション)フルバックアップを実行.

eDirectoryデータベースのフルバックアップを取ります。これがデフォルトの動作で、「-i」も「-c」も指定しなければフルバックアップになります。■分節拡張■-i-cのどちらも指定しなかった場合は、フルバックアップが実行されます。

-i

(オプション)インクリメンタルバックアップを実行.

eDirectoryデータベースのインクリメンタルバックアップを取ります。最後に実施したフル/インクリメンタルバックアップ以降、変化した部分のみをバックアップします。

-t

(オプション)ストリームファイルもバックアップ.

eDirectoryデータベースをバックアップする際、ストリームファイルも含める指定です。

-u file_name

(オプション)インクルードファイル名およびパス.

バックアップ対象に追加するファイル名を列挙した、インクルードファイルを指定します。この環境設定ファイルは、サーバのeDirectoryデータベースを復元する際に必要な他のファイルをバックアップに含めるように作成できます。

インクルードファイルには各ファイルのフルパスを記述し、末尾にセミコロン(;)を置いてください。

ファイルのリストにスペースやハードリターンを含めないでください。

指定どおりバックアップされたことは、ログファイルを見るか、バックアップファイルのヘッダを見れば確認できます。バックアップログファイルの書式およびバックアップファイルのヘッダ書式を参照してください。

警告:バックアップファイルを開くときは、ヘッダを確認するだけにしてください。ファイルを保存または変更しようとすると、ファイルの一部が切り捨てられる場合があります。ほとんどのアプリケーションがバイナリデータを正しく保存することができません。

-s file_size

(オプション)バックアップファイルの最大容量(MB単位)。

バックアップファイルの最大容量(MB)を指定します。バックアップファイルを保存する記憶媒体に容量制限がある場合、このオプションで最大容量を指定するとよいでしょう。

最大容量に達すると新しいバックアップファイルが生成されます。ファイル名の末尾に、5桁の16進数値を追加した名前になります。この拡張の数字は、新規ファイルが作成されるたびに1ずつ増加します。

たとえば、コマンドの一部として「backup -f 10:/backup/mydib.bak -s 10」というスイッチを使用した場合は、バックアップファイルの最大容量を10MBに設定できます。データベースが35MBあったとすれば、最終的に以下のバックアップファイルができます。

  • C:\backup\mydib.bak、サイズは9.6MB
  • C:\backup\mydib.bak.00001、サイズは9.6MB
  • C:\backup\mydib.bak.00002、サイズは9.6MB
  • C:\backup\mydib.bak.00003、サイズは5.6MB

最小可能サイズは約1MBです。バックアップで作成されるファイル数によって、最初のファイルが大きくなる場合があります。

最初のファイルには、number_of_filesというバックアップタグの下に属性が含まれています。これはバックアップファイルの総数を表します。上記の例では4となります。また、各バックアップファイルのヘッダに、backup_fileという属性が含まれています。これは本来のバックアップファイル名を表します。詳細については、バックアップファイルのヘッダ書式を参照してください。

上記の4つのバックアップファイルを使って復元する場合、コマンドは次のようになります。

restore -f C:\backup\mydib.bak -l log_file_path_and_filename

ファイルが複数に分かれていることはバックアップツールによって自動的に認識され、同じディレクトリ内にある、上記の名前のファイルが検索されます。

ヒント:サードパーティ製のファイル圧縮ツールを使えば、バックアップファイルの容量を小さくすることができます。80%程度は圧縮できます。

-w

(オプション)同名のバックアップファイルがあれば上書き

-fスイッチで指定されたものと同じ名前のバックアップファイルがあれば、上書きします。この指定がない場合で同名のファイルが存在すると、対話式モードであれば、バックアップツールは上書きしてよいかどうか確認を求めます。バッチモードでは、同じ名前のファイルが存在する場合に-wが指定されていないと、デフォルトの動作として、ファイルは上書きされず、バックアップは作成されません。

eDirectoryのフル/インクリメンタルバックアップの都度、すぐにファイルシステムのバックアップを取っているのであれば、前回のバックアップファイルはテープに保存されているはずです。したがって上書きしても問題ありません。

重要:バッチファイルを使って無人バックアップを行う場合、このオプションを指定してください。同じバッチファイルを繰り返し使用するなど、同じ名前のバックアップファイルが存在する場合、バックアップが正常に行われるように、-wオプションを使用して、既存のバックアップファイルが上書きされるようにしてください。

バッチモードでは、同じ名前のファイルが存在する場合に-wが指定されていないと、デフォルトの動作として、ファイルは上書きされず、バックアップは作成されません。なお、対話式モードの場合は、-wが指定されていないと、ファイルを上書きしてよいかどうか問い合わせます。

-c

(オプション)コールドバックアップを実行

フルバックアップと同様ですが、いったんデータベースを停止してから実行します。-oまたは-o -dが指定されている場合を除き、バックアップ終了後、データベースは再びオープンされます。

-o

(オプション)コールドバックアップ後、データベースを停止したままにする

-cスイッチを使用した場合にのみ使用できます。コールドバックアップの終了後、データベースを停止したままにします。この機能は、ハードウェアをアップグレードする、あるいは新規サーバ(同じオペレーティングシステムが動作するもの)に移行する場合に有用です。詳しくは「セクション 19.4, ハードウェアのアップグレードやサーバの交換」を参照してください。

-d

(オプション)コールドバックアップ後、DSエージェントを無効にする

-cスイッチと-oスイッチの両方を指定した場合にのみ使用できます。コールドバックアップ後、DSエージェントを無効にします。この機能は、ハードウェアをアップグレードする、あるいは新規サーバ(同じオペレーティングシステムが動作するもの)に移行する場合に有用です。詳しくは「セクション 19.4, ハードウェアのアップグレードやサーバの交換」を参照してください。

擬似サーバの「login disabled」属性を設定することにより、DSエージェントを無効にします。その結果、eDirectoryを起動しようとすると「-663」エラーが発生します。

-e password

NICIバックアップの実行

passwordは、NICIバックアップパスワードを指定します。この同じパスワードをNICIファイルの復元でも指定する必要があります。

--config-file configuration file

(オプション)バックアップするeDirectoryのインスタンスを指定できます。

configuration fileは、バックアップするeDirectoryインスタンスの環境設定ファイルへの絶対パスを指定します。次に例を示します。

--config-file /etc/opt/novell/eDirectory/conf/nds.conf

このスイッチは、Linux環境にのみ適用されます。

restore

データベースおよび関連ファイルの復元

-f file_name

(必須)バックアップファイルの名前とパス。

復元に使うフルバックアップファイルを指定します。このファイルは復元対象サーバ上に置いておかなければなりません。たとえば、restore -f :/backup/ndsbak.bakを指定すると、ファイルC:/backup/ndsbak.bakから復元されます。

複数のファイルに分かれている場合は、すべて同じディレクトリ内に集めておいてください。

-l file_name

(必須)ログファイルの名前とパス

復元処理の結果を出力するログファイルを指定します。

-r

(オプション)DIBセットも復元。

eDirectoryデータベースを復元する旨の指定です。

警告:このオプションを指定しなかった場合、eDirectoryデータベース自身は復元されません。指定した種類以外のファイルのみが復元の対象になります。

-d dir_name

(オプション)ロールフォワードログのあるディレクトリ

ロールフォワードログを集めたディレクトリを指定します。復元対象サーバ上のフルパスで指定してください。必要なロールフォワードログをすべて、作成時と同じファイル名にして、ひとつのディレクトリに集めておかなければなりません。

バックアップファイルからの復元後、ロールフォワードログを使って、バックアップ時点以降の変更を反映させます。-dスイッチが使用されない場合、バックアップ時にロールフォワードログ記録を有効にしていても、バックアップツールはログファイルを参照しません。

最初に適用するべきロールフォワードログは、最新のバックアップファイルをテキストエディタで開き、backupタグのcurrent_log属性を見れば確認できます。ここでいう最新のバックアップファイルとは、-fオプションで指定するフルバックアップファイルか、または復元処理で適用することになる最後のインクリメンタルバックアップファイルです。ヘッダに記述される属性について詳しくは、「バックアップファイルのヘッダ書式」を参照してください。

警告:バックアップファイルを開くときは、ヘッダを確認するだけにしてください。ファイルを保存または変更しようとすると、ファイルの一部が切り捨てられる場合があります。ほとんどのアプリケーションがバイナリデータを正しく保存することができません。

-u

(オプション)インクルードファイルに列挙されたファイルも復元

データベースに追加する形でバックアップしていたファイルも復元します。

バックアップの過程で、データベース以外にもバックアップが必要なファイルを列挙したファイルを作成し、インクルードファイルとして指定することもできます。しかしその場合でも、「-u」オプションで指定しなければ復元されません。

-a

(オプション)検証後、DIBをアクティブにする指定。

復元後の検証処理が正常終了したら、データベース名をRSTからNDSに変更します。この処理の概要については、「バックアップツールによる復元作業の概要」を参照してください。

-o

(オプション)処理終了後、データベースをオープンする

処理の終了後にデータベースをオープンするようにバックアップツールに指示します。検証処理が正常終了すれば、データベースが自動的に開きます。失敗した場合は、復元前のデータベースが開きます。この処理の概要については、「バックアップツールによる復元作業の概要」を参照してください。

-s

復元処理後にロールフォワードログをリセットしないようにバックアップツールに指示します。主に、デフォルトのRFLの場所のインスタンスで使用されます。

-n

(オプション)復元後にデータベースを検証しない

検証せずにデータベースを復元するようにバックアップツールに指示します。このサーバの遷移ベクトルをレプリカリングに属する他のサーバと比較する、という検証処理を行いません。遷移ベクトルの詳細については、「遷移ベクトルと復元後の検証処理」を参照してください。他のオプションで明示的に指定されていない限り、RSTからNDSへの改名もしません。

重要:NetIQサポートから提案されない限り、このオプションの使用はお勧めできません。

-v

(オプション)上書きして復元

検証処理を行うことなく、データベース名をRSTからNDSに変更します。

重要:NetIQサポートから提案されない限り、このオプションの使用はお勧めできません。

-k

(オプション)データベースのロックを解除

NDSデータベースのロックを解除します。

-i

順番になったインクリメンタルファイルのカンマ区切りリスト。

-e password

バックアップしたNICIファイルの復元

passwordは、NICIファイルのバックアップで使用されたNICIバックアップパスワードを指定します。NICIファイルの復元時に誤ったパスワードが指定された場合は、エラーメッセージが表示されます。

--config-file configuration file

(オプション)復元するeDirectoryのインスタンスを指定できます。

configuration fileは、復元するeDirectoryインスタンスの環境設定ファイルへの絶対パスを指定します。次に例を示します。

--config-file /etc/opt/novell/eDirectory/conf/nds.conf

このスイッチは、Linux環境にのみ適用されます。

restadv

高度な復元機能。

メモ:すべての高度な復元オプションで、DSエージェントがクローズされます。

-l file_name

(必須)ログファイルの名前とパス

復元処理の結果を出力するログファイルを指定します。

-o

(オプション)処理終了後、データベースをオープンする

処理の終了後にデータベースをオープンするようにバックアップツールに指示します。検証処理が正常終了すれば、データベースが自動的に開きます。失敗した場合は、復元前のデータベースが開きます。

この処理の概要については、「バックアップツールによる復元作業の概要」を参照してください。

-n

(オプション)前に失敗した復元の検証処理を起動

前に復元して検証に失敗したRSTデータベースを再度検証します。

-m

(オプション)復元されたDIBファイルの削除

RSTデータベースが存在すれば削除します。

-v

(オプション)上書きして復元

検証処理を行うことなく、データベース名をRSTからNDSに変更します。

重要:NetIQサポートから提案されない限り、このオプションの使用はお勧めできません。

-k

(オプション)データベースのロックを解除

NDSデータベースのロックを解除します。

-i

順番になったインクリメンタルファイルのカンマ区切りリスト。

重要:このオプションは、DSBKにのみ適用されます。

getconfig

ロールフォワードログに関する現在の設定を表示。

 

指定できるオプションはありません。

現在の設定を表示します。たとえば、ロールフォワードログ記録が無効になっている場合、getconfigコマンドでは次のような情報が表示されます。

  Roll forward log status OFF
Stream file logging status OFF
Current roll forward log directory C:\rfl\nds.rfl
Minimum roll forward log size (bytes) 104857600
Maximum roll forward log size (bytes) 4294705152
Last roll forward log not used 00000000.log
Current roll forward log 00000001.log
*** END ***

setconfig

ロールフォワードログに関する設定の変更。

-L

(オプション)ロールフォワードログ記録の有効化。

ロールフォワードログ機能を有効にします。(デフォルトでは無効)。この記録を有効にしておけば、停止する直前の状態にまでサーバを復元できるようになります。無効のままであれば、最後のフル/インクリメンタルバックアップ時点までしか復元できません。

レプリカリングに属するサーバについては、ロールフォワードログ記録を有効にして、他のサーバとの同期状態も復元できるようにしてください。

ただし管理者にとっては、監視しなければならない対象が増えます。これを怠ると、ログの容量は増える一方なので、ディスクパーティション/ボリュームがあふれてしまう恐れがあります。ディスク容量が不足してロールフォワードログを作成できない場合は、eDirectoryはそのサーバに対して応答しなくなります。定期的にバックアップを取り、使わなくなったログは削除する必要があります。詳細については、ロールフォワードログのバックアップと削除を参照してください。

詳細については、セクション 15.3, ロールフォワードログを使用するを参照してください。

-l

(オプション)ロールフォワードログ機能の無効化。

ロールフォワードログ機能を無効にします(デフォルトでは無効)データベースでは連続したログを保存していくのをやめ、現在のロールフォワードログに上書きしていくようになります。ロールフォワードログ作成がオフの場合、最後にフル/インクリメンタルバックアップを実行した時点までしかデータベースを復元できません。

誤って無効にしてしまった場合、ただちに有効にすると同時に、今障害が起こっても復元できるよう、改めてデータベースのバックアップを取ってください。

詳細については、セクション 15.3, ロールフォワードログを使用するを参照してください。

-T

(オプション)ストリームファイルのログ出力開始

(ロールフォワードログ機能が有効な場合のみ)ストリームファイルが更新された場合、その全体をロールフォワードログにコピーするようになります。ストリームファイルとは、ログインスクリプトなど、データベースに関係する追加の情報ファイルのことです。

ただしストリームファイルを記録すると、ディスクの空き容量が急速に減少します。ログの出力先ディスクパーティション/ボリュームの空き容量を、常に監視するようにしてください。ディスク容量が不足してロールフォワードログを作成できない場合は、eDirectoryはそのサーバに対して応答しなくなります。

-t

(オプション)ストリームファイルのログ出力停止

ストリームファイルが更新されても、その全体をロールフォワードログにコピーしないようになります。この場合でも、フル/インクリメンタルバックアップの際には、ストリームファイルもバックアップできます。ストリームファイルを頻繁に更新しないのであれば、この方法で充分でしょう。

ストリームファイルを記録しないと、ログファイルの容量が急速に増えるのを抑えることにもなります。

-r dir_name

(オプション)ロールフォワードログの出力先ディレクトリの設定。

ロールフォワードログの出力先ディレクトリを指定します。たとえば、setconfig -r vol2:\rflというコマンドを実行すると、vol2:\rfl以下にディレクトリが作成され、その下にログファイルができるようになります。

このディレクトリ名は現在のeDirectoryデータベース名に基づいて決まります。通常のインストールでは「NDS」なので、最終ディレクトリ名はvol2:\rfl\nds.rfl\となります。ここでeDirectoryデータベース名を「ND1」に変更すると、保存先もこれに合わせてvol2:\rfl\nd1.rfl\に変わります。

現在の保存先設定はgetconfigコマンドで確認できます。

保存先の設定を変えるとその時点で新しいディレクトリができますが、ログファイルは実際にトランザクションが発生するまで作成されません。

重要:バックアップツールでは、ロールフォワードログの保存先ディレクトリが変わったことを認識できません。データベースを復元する際には、最後のバックアップ以降のロールフォワードログをすべて、ひとつのディレクトリに集めておく必要があります。

詳細については、セクション 15.3, ロールフォワードログを使用するを参照してください。

-n file_size

(オプション)ロールフォワードログの最小容量の設定

ロールフォワードログの最小容量をバイト単位で指定します。この容量に達した後、実行中のトランザクションが終了すると、ログ出力先が新しいファイルに切り替わります。

-m file_size

(オプション)ロールフォワードログの最大容量の設定

ロールフォワードログの最大容量をバイト単位で指定します。この上限に達してもトランザクションが進行中の場合は、トランザクションは次のファイルに続けて記録されます。この設定は最小サイズの設定より常に大きくする必要があります。

-s

(オプション)ログ出力先ファイルの強制切り替え

実行中のトランザクションが終了した時点で、ログ出力先を新しいファイルに切り替えます。次のトランザクション開始時に新しいファイルが作成されます。

キャンセル

バックアップ/復元処理を取り消します。指定できるオプションはありません。

メモ:このオプションは、DSBKに適用されません。

--config-file configuration file

(オプション)ロールフォワードログ設定を構成するeDirectoryのインスタンスを指定できるようにします。

configuration fileは、ロールフォワードログ設定を構成するeDirectoryインスタンスの環境設定ファイルへの絶対パスを指定します。次に例を示します。

--config-file /etc/opt/novell/eDirectory/conf/nds.conf

このスイッチは、Linux環境にのみ適用されます。

15.5.8 cronジョブとしてのDSBKの実行

dsbkスクリプトには、DSTraceバイナリへのフルパスが含まれていません。そのため、デフォルト設定を使用してcronジョブとしてスクリプトを実行すると、スクリプトが失敗します。ただし、パスを追加するように/opt/novell/eDirectory/bin/dsbkスクリプトを変更しないでください。これは、今後のeDirectoryパッチによって、このファイルが上書きされ、スクリプトに対して行われたすべてのカスタマイズが元に戻される可能性があるためです。

代わりに、dsbkをcronジョブとして実行する前に、crontabファイル内のPATH環境変数にndstraceが配置されているディレクトリを追加します。そうすれば、cronジョブがndstraceアプリケーションを探して実行します。