14.5 LDAPオブジェクトを環境設定する

eDirectoryのインストール時に、LDAPサーバオブジェクトとLDAPグループオブジェクトが作成されます。LDAPサービスのデフォルト設定は、これらの2つのオブジェクト上のディレクトリにあります。NetIQ iManagerでLDAP管理タスクを使用することで、デフォルトの設定を変更できます。

LDAPサーバオブジェクトとは、サーバ固有の設定データのことです。

LDAPグループオブジェクトには、複数のLDAPサーバ間で共有できる便利な設定情報が含まれています。このオブジェクトは、共通の設定データとLDAPサーバグループを提供します。サーバは共通データを持っています。

複数のLDAPサーバオブジェクトを、1つのLDAPグループオブジェクトと関連させることができます。関連するすべてのLDAPサーバは、サーバ固有の設定をそれぞれのLDAPサーバオブジェクトから取得しますが、共通する情報や共有情報はLDAPグループオブジェクトから取得します。

デフォルトでは、LDAPグループオブジェクトおよびLDAPサーバオブジェクトが、eDirectoryインストールプログラムによってnldap.nlmまたはnldap.dlmに対して1つずつインストールされます。その後、複数のLDAPサーバオブジェクトを、1つのLDAPグループオブジェクトに関連付けることができます。

重要:新しいバージョンのLDAPサーバオブジェクトを古いバージョンのLDAPグループオブジェクトに関連付けることもできますが、異なるバージョン間での関連付けはお勧めしていません。たとえば、eDirectory 8.7.3 SP9のLDAPグループオブジェクトとeDirectory·9.0のLDAPサーバオブジェクトとの関連付けは避けるようにしてください。

LDAPグループオブジェクトが保持する、共通情報の量は制限されています。属性に含まれるデータはほとんど共通しているため、LDAPは多くの属性を読み込む必要がありません。多くのLDAPサーバは同じデータを使用する必要があります。共通の、または共有グループオブジェクトがない場合は、各LDAPサーバにそのデータを複製する必要があります。

LDAPサーバオブジェクトでは、LDAPグループオブジェクトよりも多くのサーバ固有の設定オプションとデータが許可されています。

どちらのオブジェクトも、相互にポイントされたDN構文属性を持っています。

LDAPサーバがその設定データを探せるようにするには、関連付けを追加する必要があります。関連付けは、通常のeDirectory設定データを保持するNCP™サーバを通じて行われます。この関連付けは、eDirectoryインストールプログラムにより自動で行われます。

各eDirectoryサーバは、NCPサーバオブジェクトを持っています。次の図の「Lundi」というサーバには、このオブジェクトがiManager上と同じように表示されています。

NCPサーバオブジェクトのアイコンの例

このオブジェクトは、特定のホストeDirectoryサーバのLDAPサーバオブジェクトを指すLDAPサーバ属性を持っています。次の図は、この属性を示しています。

LDAPサーバ属性

通常、LDAPサーバオブジェクト、LDAPグループオブジェクト、NCPサーバオブジェクトは同じコンテナ内にあります。eDirectoryのインストールで、サーバおよび管理者コンテキストを指定するときに、このコンテナを指定します。

LDAPサーバオブジェクトを移動するときは、それを書き込み可能なレプリカに置く必要があります。

14.5.1 Linux上でLDAPサーバオブジェクトおよびLDAPグループオブジェクトを環境設定する

LDAP環境設定ユーティリティはldapconfigです。LinuxシステムでLDAPサーバオブジェクトおよびLDAPグループオブジェクトの属性を変更、表示、リフレッシュするには、ldapconfigを使用します。

Linuxシステム上でLDAP属性値を表示するときには次の構文を使用します。

ldapconfig get [...] | set attribute-value-list  [-t treename | -p hostname[:port]] [-w password] [-a user FDN] [-f]
ldapconfig [-t tree_name | -p host_name[:port]] [-w password] [-a user FDN] [-V] [-R] [-H] [-f] -v attribute,attribute2...

Linuxシステム上でLDAP属性値を変更するときには次の構文を使用します。

ldapconfig [-t tree_name | -p host_name[:port]] [-w password] [-a admin_FDN] -s attribute=value,... 

パラメータ

説明

-t treename

コンポーネントのインストール先となるeDirectoryツリーの名前。

-p hostname

ホストの名前です。DNS名またはIPアドレスを指定することもできます。

-w

管理権を持つユーザのパスワード。

-a

管理権を持つユーザの完全識別名。次に例を示します。

cn=user.o=org1

get | -V

すべてのLDAPサーバとLDAPグループの属性を表示します。

get | -v attribute list

属性リストにある属性の現在の値を表示します。

set | -s attribute-value pairs

属性を指定した値で設定します。

-v

LDAP属性値を表示します。

-s

インストールされたコンポーネントの属性値を設定します。

-R

LDAPサーバをリフレッシュします。

-V

現在のLDAP環境設定を表示します。

-H

使用方法とヘルプを表示します。

-f

フィルタ済みレプリカ上での操作を許可します。

attribute

設定可能なLDAPサーバ属性名またはグループ属性名。詳細については、LDAPサーバオブジェクトの属性およびLDAPグループオブジェクトの属性を参照してください。

例

属性リストの属性の値を表示するには、次のコマンドを入力します。

ldapconfig [-t tree_name | -p host_name[:port]] 
[-w password] [-a user_FDN] -v "Require TLS for simple binds with password","searchTimeLimit"

LDAP TCPポート番号と検索サイズの制限を1000に設定するには、次のコマンドを入力します。

ldapconfig [-t tree_name | -p host_name[:port]] 
[-w password] [-a admin_FDN] -s "LDAP TCP Port=389","searchSizeLimit=1000”

LDAPサーバオブジェクトの属性

NetIQ LDAPサーバプロパティを設定および管理するために、LDAPサーバオブジェクトを使用します。

次の表に、LDAPサーバ属性の説明を示します。

属性

説明

LDAPサーバ

eDirectoryのLDAPサーバオブジェクトの完全識別名。

LDAP Host Server

LDAPサーバの実行場所となるホストeDirectoryサーバの完全識別名。

LDAPグループ

eDirectoryの中で、このLDAPサーバがメンバーとして属するLDAPグループオブジェクト。

LDAP Server Bind Limit

LDAPサーバに同時にバインドできるクライアントの数。0を指定すると、無制限になります。

LDAP Server Idle Timeout

あるクライアントとLDAPサーバの間で、ここで指定した期間無活動状態が継続すると、このクライアントとLDAPサーバの接続が切断されます。0を指定すると、無制限になります。

LDAP Enable TCP

このオプションは廃止される予定です。ldapInterfacesから使用可能です。

詳細については、ldapInterfacesを参照してください。

LDAP Enable TLS

このオプションは廃止されました。ただし、ldapInterfacesから使用可能です。

詳細については、ldapInterfacesを参照してください。

LDAP TCP Port

このオプションは廃止されました。ただし、ldapInterfacesから使用可能です。

詳細については、ldapInterfacesを参照してください。

LDAP TLSポート

このオプションは廃止されました。ただし、ldapInterfacesから使用可能です。

詳細については、ldapInterfacesを参照してください。

keyMaterialName

このLDAPサーバに関連付けられた、SSL LDAP接続に使用するeDirectoryの証明書オブジェクトの名前。

searchSizeLimit

LDAPサーバが検索要求への応答としてLDAPクライアントに返すエントリの最大数。0を指定すると、無制限になります。

ユーザがLDAPサーバオブジェクト上で管理者権限を持っている場合、searchSizeLimit値は考慮されません。

searchTimeLimit

LDAPサーバによるLDAP検索がタイムアウトになるまでの最大秒数。0を指定すると、無制限になります。

ユーザがLDAPサーバオブジェクト上で管理者権限を持っている場合、searchTimeLimit値は考慮されません。

filteredReplicaUsage

LDAPサーバがLDAP検索のために、フィルタ処理されたレプリカを使用するかどうかを指定します。

値は1(フィルタ済みレプリカを使用)か0(フィルタ済みレプリカ不使用)です。

sslEnableMutualAuthentication

LDAPサーバにおいて、SSLベースの相互認証(証明書に基づくクライアント認証)を有効にするかどうかを指定します。

ldapTLSVerifyClientCertificate

LDAPによるTLS操作のクライアント認証の確認を有効または無効にします。

ldapNonStdAllUserAttrsMode

非標準のすべてのユーザとオペレーショナル属性を有効または無効にします。

ldapBindRestrictions

LDAPクライアント接続でLDAPバインド制限とサイファレベルを有効にします。この属性はクライアント接続の制御に使用できます。iManagerを使用して、次の4つのLDAPバインド制限のいずれかを設定できます。

  • なし: デフォルトでは、このオプションは有効になっています。このオプションは匿名単純認証と非匿名単純認証の両方を有効にします。このオプションの値は、0です。

  • 匿名単純認証を許可しない: この値を設定すると、匿名単純認証が無効になります。非匿名単純認証が有効になります。Value1.

  • 非匿名単純認証を許可しない: このオプションにより、非匿名の単純認証は無効になります。Value2.

  • 匿名単純認証と非匿名単純認証を許可しない: このオプションは匿名単純認証と非匿名単純認証を無効にします。Value3.

    メモ:非匿名単純認証を無効にすると、適切な猶予ログインの制限が強制的に適用されます。

RSAと楕円曲線デジタル署名(ECDSA)アルゴリズムでは、eDirectoryは次の値を使用してサイファの使用を制限できます。

  • RSA: 次の値を使用します。

    • 高度暗号化(128ビットを超える): 128ビット暗号化よりも高度なサイファレベルの使用と、128ビットキーによる一部のサイファスイートの使用を指定します。[値48]

    • 中度暗号化: 128ビット暗号化のサイファレベルの使用を指定します。Value32.

    • 低度暗号化: エクスポートサイファスイートを除く、64ビットまたは56ビット暗号化の使用を指定します。Value16.

    • エクスポート: 40ビットおよび56ビット暗号化を含むサイファレベルの使用を指定します。値0。

    デフォルトは[高]で、128ビット暗号化よりも大きいサイファレベルとなります。

    メモ:TLSのFIPSモードを有効にすると、eDirectoryは暗号化設定を無視し、[高]暗号化のみを許可します。

  • Suite Bモード: 次の値を使用します。

    • Suite B Cipher(128ビット): 128ビットレベルのセキュリティを使用することで、Suite Bモードの操作を有効にします。このオプションを選択すると、eDirectoryは、ピア(任意のLDAPクライアント)による128ビットレベルと192ビットレベルの両方のセキュリティの使用を許可します。このオプションではECDSA 256またはECDSA 384のいずれかの証明書を使用できます。

    • Suite B Cipher(128ビットのみ)を使用する: 128ビットレベルのセキュリティを使用することで、Suite Bモードの操作を有効にします。このオプションを選択すると、eDirectoryは、ピア(任意のLDAPクライアント)による192ビットレベルのセキュリティの使用を許可しなくなります。このオプションではECDSA 256証明書のみを使用できます。

    • Suite B Cipher(192ビット)を使用する: 192ビットレベルのセキュリティを使用することで、Suite Bモードの操作を有効にします。このオプションを選択すると、eDirectoryは、ピア(任意のLDAPクライアント)による192ビットレベルのセキュリティの使用のみを許可します。このオプションではECDSA 384証明書のみを使用できます。

eDirectoryでは、ldapbindrestrictionsとサイファレベルの値を組み合わせて使用できます。詳細については、表 14-1を参照してください。

ldapChainSecureRequired

これはブール属性です。有効な場合、他のeDirectoryへのチェーンはセキュアなNCPで行われます。デフォルトでは、ldapChainSecureRequiredは無効です。

ldapInterfaces

LDAPサーバが(クリアテキストおよびセキュアなポートの両方を)リスンするLDAP URLを保存するために使用される複数値のSYN_CI_STRING属性。この属性は、eDirectoryサーバでそれぞれのインスタンスが特定のインタフェースについてリスンすることが必要な、複数のインスタンスを構成する際に役立ちます。これは、LDAP URL形式のIPアドレスとポート番号を使用して設定できます。LDAPサーバはこれらのIPアドレスとポートをリスンします。

IPv4とIPv6リスナの例を次に示します。

ldap://192.168.1.1:389 - To specify for IPv4 specific address on clear text port
ldaps://192.168.2.1:636 - To specify for IPv4 specific address on secure port
ldap://[2015::3]:389 - To specify for IPv6 specific address on clear text port
ldaps://[2015::3]:636 - To specify for IPv6 specific address on secure port
ldap://[::]:389 - To specify for IPv6 unspecified address on clear text port
ldaps://[::]:636 - To specify for IPv6 unspecified address on secure port

新しいサーバがeDirectory 9.0から構成されている場合、LDAP Enable TCP、LDAP Enable TLS、LDAP TCP Port、およびLDAP TLS Port属性は設定されません。環境設定中にldapおよびldaps用に選択したポートに対応するldapInterface属性値が入力されます。例: ldap://:389、ldaps://:636デフォルトでは、IPv4インタフェース値のみがldapInterfaces属性に追加されます。

アップグレード中に、eDirectoryは、LDAP Enable TCP、LDAP Enable TLS、LDAP TCP Port、LDAP TLS Port属性を削除するためにトリガされます。これらの属性に対応する値がldapInterfaceに入力されます。ldapconfig setコマンドは、コンマ区切りの値を取得して、既存のすべての値を新しい値に置き換えます。

ldapStdCompliance

eDirectory LDAPサーバはデフォルトでは、1つのレベルの検索でサブオーディネート参照を返しません。これを有効にするには、ldapStdComplianceを値1にしてオンにする必要があります。この値を設定すると、LDAPサーバは1つのレベルの検索でサブオーディネート参照を返すようになります。

ldapChainSecureRequired

これはブール属性です。有効な場合、他のeDirectoryへのチェーンはセキュアなNCPで行われます。デフォルトでは、この属性は無効です。

ldapEnablePSearch

LDAPサーバで持続的検索機能を有効にするかどうかを指定します。

Values= yes, no

ldapMaximumPSearchOperations

同時に実行できる持続的検索操作の数を制限するための整数値です。0を指定すると、検索操作は無制限になります。

ldapIgnorePSearchLimitsForEvents

持続的検索要求によって最初の結果が返された後で、サイズと時間の制限を無視するかどうかを指定します。

Values= yes, no

この属性がFALSEに設定されている場合、すべての持続的検索操作は検索制限の制約を受けます。サイズと時間のいずれかの制限に達した場合、検索操作は失敗し、該当するエラーメッセージが返されます。

ldapGeneralizedTime

時刻をYYYYMMDDHHmmSS.0Z形式で表示するために汎用タイムを有効にします。

Values= yes, no

ldapPermissiveModify

LDAP変更操作を拡張するためにPermissive Modify Controlを有効にします。存在しない属性を削除したり、属性にすでにある属性値を追加しようとすると、エラーメッセージが表示されることなく操作が完了します。

Values= yes, no

表 14-1 ldapbindrestrictionsとサイファレベルの組み合わせ値

ldapbindrestriction

証明書

サイファレベル

組み合わせ値

なし

RSA

エクスポート

0

RSA

高

48

RSA

中

32

RSA

低い

16

ECDSA 256/384

SUITEB128

64

ECDSA 256

SUITEB128ONLY

80

ECDSA 384

SUITEB192

96

匿名単純認証を許可しない

RSA

エクスポート

1

RSA

高

49

RSA

中

33

RSA

低い

17

ECDSA 256/384

SUITEB128

65

ECDSA 256

SUITEB128ONLY

81

ECDSA 384

SUITEB192

97

ローカルバインドを許可しない

RSA

エクスポート

2

RSA

高

50

RSA

中

34

RSA

低い

18

ECDSA 256/384

SUITEB128

66

ECDSA 256

SUITEB128ONLY

82

ECDSA 384

SUITEB192

98

匿名単純認証とバインド解除を許可しない

RSA

エクスポート

3

RSA

高

51

RSA

中

35

RSA

低い

19

ECDSA 256/384

SUITEB128

67

ECDSA 256

SUITEB128ONLY

83

ECDSA 384

SUITEB192

99

LDAPグループオブジェクトの属性

LDAPクライアントのNetIQ LDAPサーバに対するアクセス方法と、サーバ上の情報の使用方法を設定および管理するには、LDAPグループオブジェクトを使用します。

単純認証にTLSが必要な場合は、「パスワードとの単純バインドにTLSを要求する」を参照してください。この属性は、LDAPサーバがLDAPクライアントからパスワードをクリアテキストで送信することを許可するかどうかを指定します。値は1(はい)または1(いいえ)です。

デフォルトの参照、referralIncludeFilter、referralExludeFilter、およびLDAPサーバによるLDAP参照の処理方法を指定するには、「参照を使用する」を参照してください。