9.1 LinuxでのeDirectoryサービスのクラスタリング

このセクションでは、Linuxの高可用性クラスタリングを使用して、eDirectory 8.8を環境設定する方法について説明します。

9.1.1 前提条件

  • クラスタリングソフトウェアがインストールされた2台以上のLinuxサーバ

  • すべてのeDirectoryおよびNICIデータを保存するための十分なディスク容量を持つ、クラスタソフトウェアがサポートしている外部共有ストレージ

  • 仮想IPアドレス

  • NetIQ eDirectory 8.8 SP8以降

    メモ:nds-cluster-configユーティリティは、eDirectoryのルートインスタンスの環境設定だけをサポートしています。クラスタ環境内でのeDirectoryの複数インスタンスの環境設定と、eDirectoryの非ルートインストールはサポートされていません。

9.1.2 eDirectoryをインストールして設定する

  1. プライマリクラスタノードとして使用するサーバにeDirectoryをインストールして、設定を行います。インストールと環境設定の手順の詳細については、「セクション 1.6.2, nds-installユーティリティを使用してeDirectoryコンポーネントをインストールする」を参照してください。

    メモ:

    • eDirectoryを環境設定する場合、デフォルトのNCPサーバは、eDirectoryをインストールしたコンピュータのホストサーバ名になります。eDirectoryはクラスタ環境内の複数のホスト上でホストされているため、デフォルト名を使用する代わりに、クラスタに対して一意となるNCPサーバ名を指定してください。たとえば、プライマリクラスタノード上にeDirectoryを設定した場合、NCPサーバにclusterserverという名前を指定できます。

    • 環境設定処理中、eDirectoryのインストールで必ず仮想IPアドレスを設定してください。クラスタ環境では、eDirectoryはシステムのIPアドレスではなく、仮想IPアドレスだけをリスンします。

  2. eDirectoryのインストールと環境設定を実行した後、/etc/opt/novell/eDirectory/confに格納されているnds.confファイルに移動します。

  3. nds.confファイルを編集して、n4u.nds.preferred-server設定の値をクラスタインストールの仮想IPアドレスに設定し、ファイルを保存して閉じます。

  4. ndsstatコマンドを使って、eDirectoryのインストールを確認します。

    eDirectoryはプライマリクラスタノードで稼働している必要があります。

  5. クラスタマネージャを使って、共有ファイルシステムをマウントします。

  6. 環境設定ユーティリティを実行する前に、次のディレクトリ内のすべてのデータをバックアップします。

    • /var/opt/novell/nici

    • /var/opt/novell/eDirectory/data (n4u.server.vardir)

    • /var/opt/novell/eDirectory/data/ (n4u.nds.dir)

    • /etc/opt/novell/eDirectory/conf (n4u.server.configdir)

    • /var/opt/novell/eDirectory /log

    メモ:デフォルト以外の場所にeDirectoryをインストールする場合、ndsconfig getコマンドを使って、インストールで使われたvardirdirパスを検索できます。nds.confはデフォルトの場所 (/etc/opt/novell/eDirectory/conf/nds.conf) に配置する必要があります。

  7. プライマリクラスタノードサーバで端末を開き、次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを停止します。

    ndsmanage stopall
    
  8. 端末で環境設定ユーティリティnds-cluster-configの場所に移動します。 このユーティリティは、/opt/novell/eDirectory/binディレクトリにあります。

  9. 次のコマンドを実行します。

    nds-cluster-config -s /<sharedfilesystem>
    

    ここで、<sharedfilesystem>は、eDirectory共有クラスタデータに使用する場所を指しています。

    メモ:-uオプションを使って、ユーティリティを無人モードで実行することもできます。このオプションを使用すると、クラスタのeDirectoryを設定するときに、ユーティリティによる確認は行われなくなります。

    無人オプションを使用する場合、-sオプションを併せて使用し、共有クラスタファイルシステムを指定する必要があります。

  10. クラスタ共有ストレージが有効であることをユーティリティが確認した後、[y]をクリックして、クラスタの環境設定を続行します。

    環境設定ユーティリティは、先に示したディレクトリ内のデータを、共有ファイルシステムの次の場所に移動します。

    • <sharedfilesystem>/nici

    • <sharedfilesystem>/data

    • <sharedfilesystem>/data/

    • <sharedfilesystem>/conf

    • <sharedfilesystem>/log

  11. 次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを開始します。

    ndsmanage startall
    
  12. ndsstatを使って、eDirectoryの状態を確認します。eDirectoryサービスは稼働している必要があります。

  13. 次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを停止します。

    ndsmanage stopall
    
  14. クラスタのセカンダリノードとして、使用するサーバにログインします。

  15. クラスタマネージャを使って、共有ストレージをセカンダリノードに移動します。

  16. プライマリクラスタノードにインストールしたバージョンと同じeDirectoryのバージョンを、セカンダリクラスタノードにインストールします。ただし、eDirectoryは設定しないでください。

  17. 端末で、セカンダリノードの環境設定ユーティリティの場所に移動します。このユーティリティは、/opt/novell/eDirectory/binディレクトリにあります。

  18. 端末を開き、次のコマンドを実行します。

    nds-cluster-config -s /<sharedfilesystem>
    

    ここで、<sharedfilesystem>は、クラスタ共有ストレージを指しています。<sharedfilesystem>のパスは、プライマリノードの設定時に指定したパスの場所と同じにしてください。

    nds-cluster-configユーティリティは、セカンダリクラスタノードを、共有クラスタファイルシステム上に格納されている共有eDirectoryデータにリンクします。

  19. 次のコマンドを実行して、eDirectoryサービスを開始します。

    ndsmanage startall
    

    ndsstatコマンドを使って、eDirectoryの状態を確認します。

  20. ndsmanage stopallコマンドを実行して、セカンダリノード上のeDirectoryサービスを停止します。

  21. クラスタの両方のノード上でeDirectoryを正常に環境設定した後、次のコマンドを使って、各ノード上のNDSDサービスのスタートアップモードを変更する必要があります。

    chkconfig -d ndsd
    
  22. 環境設定ユーティリティで2番目のノードの環境設定が終了した後、クラスタマネージャを使って、eDirectoryサービスをクラスタに追加できます。

重要:2台以上のノードが同じDIBを同時にアクセスしていないことをクラスタマネージャがチェックするのが、理想的です。ただし、ユーザが2台以上のクラスタノードから同時にNDSDが実行されないことを確認する必要があります。これは、2台以上のノードを介して同じDIBにアクセスすると、DIBの破損につながるからです。

9.1.3 クラスタ化したLinux環境でSNMPサーバを設定する

  1. すべてのノード上でsnmpd.confファイルを変更します。詳細については、『NetIQ eDirectory 8.8 SP8管理ガイド』のeDirectoryのSNMPサービスのインストールと設定を参照してください。

  2. ndssnmpsaを起動します。

  3. パスワードを保存しますか]オプションに「Yes」を選択します。

  4. SNMPサービスを開始するには、次のいずれかの操作を実行します。

    • /etc/init.d/ndssnmpsa startpost_ndsd_startスクリプトに追加し、/etc/init.d/ndssnmpsa stoppre_ndsd_stopスクリプトに追加します。

    • eDirectoryリソースに依存するクラスタリソースとしてndssnmpsaを追加します。

メモ:eDirectoryは仮想IPアドレスをリスンしているため、トラップにはホストのIPアドレスが設定されます。これはエージェントのIPアドレスになります。