2.3 アップグレード

2.3.1 マウントポイントが/var/opt/novell/eDirectory/dataに設定されているとアップグレードが失敗する

マウントポイントが/var/opt/novell/eDirectory/dataに設定されていると、ndsconfig upgradeコマンドを使用したeDirectoryのアップグレードが失敗します。アップグレードは停止して、次のエラーメッセージが表示されます。

ERROR: Unable to check if the directory "/var/opt/novell/eDirectory/data_upg_bak" already exists. If the directory exists, delete it and execute `ndsconfig upgrade --config-file /etc/nds.conf`to restart the upgrade operation.

アップグレード中は、カスタマデータが失われることのないように、/var/opt/novell/eDirectory/dataディレクトリの名前が/var/opt/novell/eDirectory/data_upg_bakに変更されます。これが問題の起きる理由です。前述の例の場合、マウントポイントは/var/opt/novell/eDirectory/dataディレクトリですが、このディレクトリは名前を変更することができません。

この問題の対処方法としては、次のいずれかを行います。

  • マウントポイントを/var/opt/novell/eDirectoryに変更します。

  • 以下を実行します。

    1. /var/opt/novell/eDirectory/data_upg_bakディレクトリを作成します。

    2. /var/opt/novell/eDirectory/dataのファイルを/var/opt/novell/eDirectory/data_upg_bakに移動します。

      重要:アップグレードが円滑に行われるようにするため、/var/opt/novell/eDirectory/dataディレクトリは空にしておいてください。

2.3.2 Windowsシステムでパッチ適用後にeDirectoryをアップグレードすると、パッチバージョンが削除されない

パッチ適用後にeDirectoryをアップグレードすると、パッチバージョンはアップグレードされませんが、製品の基本バージョンはアップグレードされます。

この問題は、次のようにアップグレードした場合にみられ、問題は再現します。

表 2-1 eDirectoryのバージョン

基本製品バージョン

パッチバージョン

アップグレード済みのバージョン

eDirectory 873

87310

eDirectory 88 SP3

eDirectory 873

eDirectory 88 SP3

eDirectory 873

eDirectory 873 SP10

eDirectory 88 SP6

任意のパッチ

eDirectory 88 SP8

この問題の原因は、eDirectoryインストーラとパッチインストーラがWindowsでは異なることにあります。eDirectoryの基本製品はNISフレームワーク経由でインストールされ、eDirectory 8.8 SP5 Patch 2などのパッチはNulsoftインストーラスクリプト(NSIS)を使用してインストールされます。インストーラが異なるため、製品の基本バージョンのみがアップグレードされ、NSISでインストールされたパッチはアップグレードされません。

この問題の対処方法として、アップグレード中にパッチ(eDirectory 8.7.3 SP9/eDirectory 8.7.3 SP10/eDirectory 8.8 SP5パッチ2およびeDirectory 8.8 SP5パッチ3など)のレジストリエントリを削除します。