1.1 ワークロードの移植容易性および保護について

Portability Suiteは、物理マシン、仮想マシン、およびボリュームイメージングの3つのインフラストラクチャ間でワークロードのマイグレーションを自動化します。仮想マシンとイメージングインフラストラクチャの場合、Portability Suiteはビジネスの継続性に対して保護機能を提供します。

図 1-1 ワークロードの移植容易性

表 1-1 ワークロードの移植容易性および保護の操作

操作のカテゴリ

変換のインフラストラクチャ

ワークロードの移植容易性: ピアツーピア

  • 物理から仮想(P2V)

  • 仮想から仮想(V2V)

  • 仮想から物理(V2P)

  • 物理から物理(P2P)

ワークロードの移植容易性: イメージング

  • 物理からイメージ(P2I)

  • 仮想からイメージ(V2I)

  • イメージから仮想(I2V)

  • イメージから物理(I2P)

ワークロードの保護

  • 物理から仮想(P2V)

  • 仮想から仮想(V2V)

  • 物理からイメージ(P2I)

  • 仮想からイメージ(V2I)

Portability Suiteは、複数のワークロードタイプと仮想化プラットフォームをサポートしています。保護とイメージングは、Microsoft* Windows*オペレーティングシステムを持つワークロードでサポートされています。サポートされているワークロードとインフラストラクチャの詳細なリストについては、サポートされるソースワークロードおよびターゲットプラットフォームを参照してください。

1.1.1 Portability Suite用のビジネスアプリケーション

Portability Suiteは、次のシナリオでの使用を目的としています。

  • 統合。 物理マシンから仮想マシンへの大規模マイグレーションを自動化することで、統合プロジェクトを加速させ、管理上の労力およびエラーを削減します。

  • マイグレーション。 完全に設定されたワークロードを古いハードウェアから新しいハードウェアへ、ソフトウェアスタック全体を再構築することなしに移行します。

  • テストラボの展開。 1つのVMホスト上で複数の仮想マシンを実行することによってテストラボのワークロードを統合し、仮想テストラボ環境を迅速で容易に展開し、また運用環境全体を数時間または数日のうちに複製します。

  • 障害復旧。 物理または仮想の運用ワークロードを仮想マシンに自動複製することで、計画内/計画外のシステム停止を管理します。物理的な運用ワークロードが利用できない場合に、仮想マシンレプリカに切り替えることもできます。これにより、ビジネスの継続性を保ちつつ、ダウンタイムおよびハードウェアリソースの使用率を削減します。

  • 保守およびサポート契約の保全。 サポート契約の有効性を保つために、ワークロード、およびそれらにインストールされているアプリケーションの仮想化をまとめて解除し、ネットワーク経由でそれらを物理マシンに移行させます。

  • マシンプロビジョニング。 ハードウェアから独立した柔軟なイメージのライブラリ全体を簡単にキャプチャし、それらをハードウェアやドライバなどを手動で設定することなくネットワーク経由で新しいインフラストラクチャに展開します。

  • ワークロードの継続的な最適化。 あらゆる地理的な場所から、任意のプラットフォームに対して、方向を問わずにワークロードを移動させます。ワークロードは、進行中および継続的なリソースの最適化の作業中に、仮想化および仮想化の解除ができます。

1.1.2 ワークロード変換タスク

Portability Suiteを使用すると、次の変換タスクの定義、保存、スケジュール、実行、および監視を行うことができます。

表 1-2 Portability Suiteのワークロード変換タスク

変換

説明

ワークロードのコピー

選択した物理または仮想ワークロードを仮想的または物理的に複製します。ただし、新しいワークロードには、新しいネットワークIDが割り当てられます。ソースのワークロードを運用可能な状態に保つには、この変換タスクを使用します。

ワークロードの移動

選択した物理または仮想ワークロードを厳密に仮想的または物理的に複製します。元のインフラストラクチャを廃止したり、別の目的のために再生したりするには、この変換タスクを使用します。

ワークロードの保護

保護契約のもと、選択した物理ワークロードまたは仮想ワークロードのスタンバイの仮想的な複製が作成されます(ソース上の増分的な変更の複製を同期する定期的、自動的なスケジュール)。

サーバ同期

ネットワーク経由でソースボリュームデータ全体を転送することなく、別の仮想ワークロードまたは物理ワークロードを使用して、仮想ワークロードまたは物理ワークロードを同期します。1回限りの移植容易性タスク(コピーまたは移動タスクと同様)、または進行中の保護(ワークロードの保護タスクと同様)のいずれかの2つのワークロードを同期できます。

イメージのキャプチャ

物理または仮想ワークロードのイメージを、柔軟なイメージの形式で単一のエンティティとして作成します。ソースワークロードのイメージを使用して、オンデマンドか、または事前定義のスケジュールに応じて、自動的にイメージの状態を同期することもできます。

イメージのインポート

サードパーティ製のボリュームアーカイブまたは未加工のボリュームデータを柔軟なイメージにインポートします。

イメージの展開

柔軟なイメージを、物理または仮想マシン上のブートされたワークロードまたはブート可能なワークロードに変換します。