SNMPは「マネージャ/エージェント」アーキテクチャにもとづくプロトコルです。SNMPを使用して行われるネットワーク管理のアーキテクチャは、次のような要素から成ります。
NMS(Network Management Station)
管理対象デバイス
マスタエージェント
サブエージェント
MIB(Management Information Base)
ネットワーク管理プロトコル
図 18-1 ネットワーク管理アーキテクチャ
ネットワーク管理ステーション(NMS)とは、ネットワーク管理アプリケーションがインストールされたワークステーションのことです。管理対象デバイスに関する情報をグラフィック表示します。
NMSには次のような機能があります。
ネットワーク管理システム全体のユーザインタフェースを提供します。この機能により、ネットワーク管理の強固さ、柔軟性、および使いやすさが決まります。
SNMP Get、Get Next、SNMP GetResponse、およびSetの操作はここから実行します。また、ネットワーク上の管理対象デバイスから送られてくるSNMPトラップを捕捉するのも、やはりNMSの役割です。
1つ以上のネットワーク管理アプリケーション(NMA)を同時に監視します。NMSは、管理対象デバイス、テーブルの表示、およびログ記録に関する情報を図を使って表示する機能を備えています。
NMSに組み込まれているMIBコンパイラで、MIBファイルをコンパイルすることができます。
SNMPがインストールされているデバイスは、すべて管理対象デバイスとして扱うことができます。ホスト、ルータ、ブリッジ、ハブなどが管理対象デバイスになります。NMSは管理対象デバイスを監視し、またデバイスと通信します。
NMSと管理対象デバイスとの間では、サブエージェントおよびマスタエージェントという2種類のエージェントを介して情報をやり取りします。
サブエージェントには、管理対象デバイスに関する情報を集め、マスタエージェントに渡す役割があります。
マスタエージェントには、さまざまなサブエージェントとNMSの間で情報を交換する役割があります。マスタエージェントは、通信相手のサブエージェントと同じホスト上で動作します。
SNMPでは、プロトコルデータ単位(PDU: Protocol Data Unit)という形でネットワーク情報を交換します。PDUには、管理対象デバイスに保存されている変数に関する情報が含まれています。この変数のことを管理オブジェクトと言い、その値とオブジェクト名がNMSに渡されます。管理オブジェクトはすべて管理情報ベース(MIB)に定義されています。MIBはツリー状の階層構造で表される仮想データベースです。
SNMPの基本関数を次の表に示します。
機能 |
説明 |
---|---|
取得 |
マネージャがエージェントに情報を要求するために使用します。 |
Get Next |
配列や表から情報を取得する際にマネージャが使用します。 |
Get Response |
マネージャから問い合わせを受けたエージェントが、それに応答するために使用します。 |
設定 |
エージェント側のMIBにある変数の値を変更するために、マネージャが使用します。 |
Trap |
あるイベントが発生した際、エージェントがマネージャに通知するために使用します。 |
SNMPの詳細については、次のWebサイトを参照してください。